展覧会 岡本太郎
2023年1月14日(土)~3月14日(火)
愛知県美術館
1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)のテーマ館《太陽の塔》で知られ、今日でも幅広い世代の人々を魅了する芸術家・岡本太郎(1911-1996)。その芸術人生を振り返る、大回顧展を開催します。
岡本太郎 《露店》 1937/49年 ソロモン・R・グッゲンハイム美術館蔵(ニューヨーク)
1929年に渡仏した岡本太郎は、抽象表現に影響を受けながら画家としてのアイデンティティを確立していきます。帰国後、自らの芸術理念の核となる「対極主義」を提唱し、制作のみならず『今日の芸術』、『日本の伝統』などの著作において文化・芸術論を展開しました。《太陽の塔》を頂点とするパブリックな空間に展開される巨大な彫刻や壁画など、生活の中で生きる作品群は、「芸術は大衆のものである」という岡本太郎の信念そのものを象徴し、それ故に没後もなお、多くの人々を惹き付けています。
岡本太郎 《空間》 1934/54年 川崎市岡本太郎美術館蔵
表現活動が多岐にわたることから「何が本職なのか?」と問われることも多かった太郎の答えは「人間―全存在として猛烈に生きる人間」でした。未知なるものへの不安・怖れに常に果敢に孤独に切り込んでいった彼の表現活動は、小さな枠にとらわれることなく世界に対して「己全体を賭ける」ことであり、人間としての根源的な営みの豊かさを人々に喚起する試みであったといえるでしょう。太郎の思想・生き様が込められた作品を体感することは、不安定な状況が続く現在の社会を力強く生き抜いていくためのヒントを見つける機会となるかもしれません。
岡本太郎 《森の掟》 1950年 川崎市岡本太郎美術館蔵
岡本太郎 《愛撫》 1964年 川崎市岡本太郎美術館蔵
愛知で回顧展が開催されるのは初。昭和時代からの岡本太郎を知るファンだけでなく2022年夏にNHK教育テレビジョンのクロージング直前に放送された『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』(現在はYouTubeで公開中)で岡本太郎を最近知った人まで、岡本太郎の作品のルーツから楽しめます。
岡本太郎 《燃える人》 1955年 東京国立近代美術館蔵
芸術とは生活そのものと考える太郎にとって、衣食住を含めた人々の生活のすべてが表現のフィールドでした。
1952年に絵画の工業生産化の提案として制作したモザイクタイルの作品《太陽の神話》をきっかけに、太郎の表現は画廊や美術館から飛び出し、地下鉄通路や旧都庁舎の壁画、屋外彫刻などのパブリックアート、暮らしに根差した生活用品など、大衆にダイレクトに語りかけるものへと広がっていきました。
岡本太郎 《日の壁(原画)》 1956年 岡本太郎記念館蔵
大阪万博を経て、岡本太郎はより広く大衆に受け入れられた。中でも、1953年の放送開始当初から出演していたテレビでは、81年の「芸術は爆発だ!」と叫ぶCMや、数多くの番組に登場。日本で最も顔を知られる芸術家となりました。
岡本芸術の特質と本質、さらにはその底流にある人間・岡本太郎を、展覧会場の空間体験を通して、一人ひとりが感知する体感型の展覧会です。
ホームページよりhttps://taro2022.jp/