葛飾北斎と3つの信濃ー小布施・諏訪・松本ー
前期:7月1日(土)~7月30日(日) 後期:8月3日(木)~8月27日(日)
天才浮世絵師・葛飾北斎は、モネやゴッホ、ゴーギャンなど世界的画家を魅了し、ヨーロッパでジャポニスムという現象を生み出すなど、欧米の芸術家に強い影響を与えた巨匠です。この世界が認めた北斎が信濃と深い関わりを持つ画家であることはあまり知られていません。
本展では、「冨嶽三十六景」全46図をはじめとする錦絵の各揃物(「百物語」や「諸国瀧廻り」、「諸国名橋奇覧」、「千絵の海」など)や貴重な摺物、美人画や花鳥画など数多の肉筆作品の名品を通じて北斎画業の全貌を紹介しつつ、北斎芸術の代表作である上町及び東町祭屋台天井絵や岩松院の天井絵「鳳凰図」関連作品等によって晩年の小布施時代を概観します。
更に数少ない信州の風景として幾たびも描かれた諏訪湖と諏訪高島藩の家老千野兵庫の肖像画から北斎と諏訪の関係を俯瞰し、また、北斎の高弟・抱亭五清が終の棲家として居を定めた松本地域における絵師としての足跡を紐解くことで、北斎にとって信濃とは何であったのかを探ってまいります。
葛飾北斎《弘法大師修法図》、西新井大師總持寺蔵(前期展示)
葛飾北斎《冨嶽三十六景 信州諏訪湖》、日本浮世絵博物館蔵(前期展示)
葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》、日本浮世絵博物館蔵(前期展示)
抱亭五清《蛍狩二美人図》、板橋区立美術館蔵(前期展示)
長野県立美術館は、1966年、善光寺に隣接する城山公園内に財団法人信濃美術館として発足し、69年に県に移管されて以来、信州における唯一の県立美術館「長野県信濃美術館」として活動。90年には東山魁夷館が開館。2021年には本館が新築され、「長野県立美術館」へと改称し、現在に至っています。
本館では、「鑑賞」「学び」「交流」「研究」という4つの柱を軸に、郷土作家の作品・信州の風景画を中心とした近現代美術の収集とコレクション展や企画展の開催、美術団体などへの作品発表の場の提供、多様な学習プログラムの提供、館外における交流活動、近現代美術の研究・発信などを積極的に行っています。
前身の長野県信濃美術館では、昭和41(1966)年の開館以来、郷土にゆかりのある芸術家たちの作品と、美しい信州の自然を描いた風景を中心に 収集・公開を続けてきた。半世紀以上にわたって培われた4,600点を超えるコレクションを引き継ぎつつ、令和3(2021)年の新県立美術館開館を契機に新たに4つのコレクション・ポリシー(収集方針)を設け、更なる充実を目指しています。
主な所蔵作品に、菱田春草《羅浮仙》明治34(1901)年頃、丸山晩霞《初夏の志賀高原》明治42(1909)年、荻原碌山《女》明治43(1910)年、林倭衛《出獄の日のO氏》大正8(1919)年、村山槐多《尿する裸僧》大正4(1915)年、河野通勢 《裾花川の河柳》、吉田博 《有明山》、池上秀敏 《四季花鳥》、などがあります。
東山魁夷(ひがしやまかいい)館は、長野県が日本画家・東山魁夷(1908-1999)から作品と関係図書の寄贈を受け、長野県信濃美術館に併設して建設され、平成2年4月に開館した。収蔵作品数は現在、970余点に及ぶ。およそ2カ月に一度の割合で展示替えをし、「風景は心の鏡である」という東山芸術の世界を紹介しています。
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